『北一輝』(渡辺京二、ちくま文庫)

『逝きし世の面影』などの著作や、石牟礼美智子を世に出したことでも知られる在野の思想史家・渡辺京二による評伝である。 【概要】 明治~昭和前期の国家社会主義者・北一輝の生涯を、眼病に悩まされながら故郷佐渡で過ごした少年期、佐渡新聞で筆を振るい…

『破船』(吉村昭、新潮文庫)

【概要】 舞台は、ある海浜の寒村である。確たる地名は記されていないが、“尾花蛸”の漁獲、村の沖合いを通る商船の方向、寒気と積雪の激しい冬の描写などから佐渡の南部のどこかだと思われる。 時代は江戸期。 伊作は9歳。この僅か17戸の村で、両親と三人の…